飲食店経営者 田口 雅基の飲食に対する想い…

2019/10/17

MASAKI(マサキ)です!

今回は、私の飲食に対する想いをつづっています。

現在は、インターネットで検索すれば美味しい料理の作り方などは、記事だけでなく動画でもすぐに探すことが出来ます。

それを研究すれば、確かに美味しいものを作ることが出来るかもしれません。

飲食業界は、安い給料で長い労働時間。

いろいろな面を見てみても、ブラックなイメージしか無いですよね?

私が修行していた頃、20代~30代は本当にそんな状況でした。

朝6時に起きて出勤して、掃除、仕込み、ランチ営業にディナー営業、片付けをして帰るのは深夜の0時過ぎ…。

そこから、ソムリエ試験の勉強。

寝るのは3時というのが日常でした。

そこまでして、何をしたかったのか?

ひと言でいうと、

お客様を喜ばせたり、楽しませたりしたかったのです!

これらは、「やれ!」と言われてやっていたわけではありません。

長時間労働が好きだったわけでもないです。休みも欲しかったです!

でも、不器用だから人の何倍もやらなければいろんな知識や技術を取得できないとわかっていたからやることが出来たんだと思います。

それ以上に、こんなお店をやりたい!というイメージをいつも絵にしていたから、やり遂げることが出来たんだと思います。

いろいろなお客様や、スタッフと出会い、そしていろいろな空間を経験できたお陰で、私はお客様に愛されるお店を作ることが出来ました。


それが、1店舗目のビアハウスダンケであり、今経営している厚切りステーキジカビーです。


私は大学卒業後、すぐに飲食業界に飛び込みます。

はじめは、チェーン店のイタリアンでした。

当時、外食と言えば「イタリアン」という流行もあり、これなら『目立てる!』と思ったのがきっかけでした。

器用貧乏でもあった私は、そのお店であっという間に責任者になりました。そこでもう、有頂天(笑)

でも、納得できなかったんです。チェーン店のやり方に…。

全国各地に同じ店舗が多数あったので

『どこに行っても、同じ味が楽しめる!』

それはそれですごくいいことだと思います。

でも、「私がやりたいことは、これじゃないな…」

と、何をしたいのか考え始めたのがこの頃でした。


それを機に食べ歩きの日々が始まります。

車でのドライブも好きだった私は、本当に色々なところに食べに行きました。

そう!修行するためのお店を探しに…。

山梨、東京、静岡、長野…。

1年間で実に数十軒。

でも、

『これっ!!』っていうお店は、なかなかないんですよね。

そして、長野の松本に行ったときに運命のお店と巡り合うのです。

当時100年も経つ古民家を使ったイタリアン。

前菜を一口食べて

『美味い!』

そして、メインの和牛サーロインの炭火焼きを口にして

『ここだっ!』

山梨の自宅に戻り、もう、いても立ってもいられません。

「あの空間、あの料理、そしてスタッフのイキイキとした雰囲気…」

今でも鮮明に思い出すことが出来ます。

翌日早速そのお店に電話をしました。

そして、即面接。

即、採用!

「いつから来れる?」

「来月から来れます!」

ここで、真の飲食業界の洗礼を受けるとも知らずに…。



面接も無事に終わり、有頂天の私はルンルン気分で新天地での仕事を始めます。

「田口です!今日からよろしくお願いします!!」と挨拶。

『1か月もしたら、旨いパスタ作ってやるぜ!!』

と意気込んでいました‼。

でも、

何かが違うんです。

やっていることが分からないことだらけ…。

仕込みから始まり、ランチを営業してディナーの仕込み、

そして、ディナー。

全員で掃除をして、全員で仕込み、そして接客。

今までの、

お湯を沸かして、粉を入れて

『はい!スープの出来上がり!!』

真のプロの世界は、そんなもんじゃない!

お客様を喜ばせる料理というのは、即席料理なんかじゃない!

お客様を感動させるのは、

料理を持っていって説明して、ワインを出して説明して、食事が終わったら下げ物をして…

それは、接客じゃない…

『ただの作業じゃん…』

今までやっていたことは、何だったんだろう…

途方にくれました…

『僕がお客様に感動を与えるためには、今までやってきたことをやっていたんじゃダメだ…』

『お客様に感動を与えられるものは、そんな簡単なものじゃない…』

と思いながらも慣れていない現場で、私はクルクル回ってみずすまし状態。

当時ついたあだ名は、

『水すまし』(笑)


そして、デザートならできるんじゃないかと思い

6歳年下のデザートを担当していた女の子に

『デザートを教えてください!』

すると彼女は、即答!

『あなたに教えることはない…。』

『…』



『あなたに教えることは、無い…。』

なんで、あんなことを言われたんだろう?

悔しい気持ちでいっぱいでした…。

悔し涙が止まらず、一睡もせずに考えました。

「どうすれば、みんなに認めてもらえるんだろう…」

今がダメなら、出来るようになればいい。

「その為に何をすればいい?」

自分に何度も問いかけました。

そして、その答えは…。

『人の倍、やってやる!』

『やればいいじゃん!』

そして、心機一転!一気にフルスロットルです!


お店の鍵を借りて、誰よりも先に出勤!

みんなが来る前に掃除を終わらせて、仕込みにとりかかれるように取り組みました。

でも、慣れていないからスピードがない…

行動してはプランを変え、また行動してはプランを変え、

それを繰り返していることでスピードは上がり

やっとのことで仕込みを出来る状態まで持ってくることが出来ました。

しかし、今度は仕込みが上手くいかない…。

ある日、桃のシャーベットの仕込みを任されました。

教わった通りにやっているつもりでも、桃の綺麗な淡いピンク色が出ない…

何度やっても同じ結果。

お店と同じ機材を揃えて、家で練習しても上手くできない。

それでも、誰も教えてくれない。

あーでもない、こうでもないの繰り返しでやっとの思いで上手くできたとき、

すでに桃の季節は終わっていました(笑)



新天地で一年が経ったころ、同じ時期に入ったほかのスタッフはもうキッチンを任せられたり、店長になったりと私一人がかなり出遅れた状態でした(笑)

そんなある日、

『田口、ガトーショコラ仕込んでおいて』

と仕込みを任されるのです。

しかし、これがまた上手くいかない…(笑)

何度も何度も失敗…。

桃のシャーベットの時のように家に帰って練習を繰り返しても失敗の連続。

何十個作っただろう…?

そして、お店が休みの日にこっそり仕込んだガトーショコラ。

翌日、遅番で出勤すると、みんなの雰囲気がなんだか少し違う…。

そして、ディナーの営業が始まり店内も賑やかになって来たころ

デザートのオーダーが入りました。

『田口!ガトーショコラ盛り付けて!!』

シェフの作ったガトーショコラを盛り付けようとすると

『違うよ!お前の作ったの!!』

慌てて、前日仕込んだガトーショコラを取り出すと綺麗にカットされたガトーショコラの横にメモ書きが一枚。

『おつかれ!ありがとう!』と。

泣きそうになりながらも

お皿を出し、

オレンジのソースとラズベリーのソースを敷いて、ガトーショコラを置きます。

その上に、ホイップクリームをのせてカラメルを回しかけ、ローストアーモンド。

バニラアイスとミントを添えて、仕上げに粉糖を…。

『ガトーショコラ出します!』

『セー(スィー)!』

みんなが反応する声に笑顔がある!

嬉しくてまた泣きそうになりながらも、お客様へ ガトーショコラを出します。

「やっぱり、ここのガトーショコラ、美味しい!」

お客様はいつもと変わらぬ笑顔で、食べてくれました。

それを見ていた私の目は涙でいっぱいだったんだと思います。

『あなたに教えることは、無い…』

あれから一年。

本当につらかった。

誰もほめてくれる人もいない。

朝から晩までお店。

休みの日もお店。

でも、お客様の

『美味しい!』

という言葉と笑顔で私は報われました。



この1年間、オーナーと一緒に仕事をするということはありませんでした。

オーナーの想いなどを考えずに仕事をしていたのです。

そして、ある一つの疑問が頭をよぎります。

『なんの為に、ここで働いているんだろう?』

その答えが出ないまま、人事異動。

もう1店舗の店長が辞めるので、そこの店長にとの話でした。

経験は浅すぎるけれども、年齢は一番上なのでというのが理由です(笑)

そして、そこで毎日のようにオーナーと一緒に働く日々がスタートしました。

なぜ、化学調味料を使わないのか。

こんな時は、このようにお客さんに対応するようにとか、

毎日毎日、違う内容でいろいろなことを教わりました。

それは、全てさりげなく、誠実にというものが根底にありました。

知り合いが来たら、知り合いと話すのは最後に!

カウンター席に一人のお客さんが来たら必ず話しかけるように!…とか。

このお店には、オーナーがいるからオーナーの想いが詰まっているから

沢山のお客様が集まってきてくれていたのです。

飲食業の基本や

田口 雅基の土台を作ってくれたのは、後にも先にもこのお店でした。


そして、私はオーナーから最高のキャッチコピーを頂きました。

『真心がスパイスです!! 田口 正紀』



飲食店で、お客様に感動してもらうためには、

実にいろいろなことを手掛けなければなりません。

一言でいうと「面倒くさいこと」ばかりです。

ですが、それをやらなければお客様に喜んでもらうことは出来ません。

掃除に始まり、掃除に終わる。

お客様にはそんなこと関係ないです。そんなこと評価してはくれません。

むなしいですよね。

でも、

『美味しかったよ!』

『また、来ます!』

とか言ってもらえたら、嬉しいじゃないですか!

そして、お客様から

『ありがとう!』

なんて言われたときには最高に嬉しく思うんじゃないですか?

飲食店における一連の業務は決して楽なものではありません。

しかし、お客様の笑顔を思い浮かべたとき

これらの業務をやるべきか?やらないべきか?

その答えは、一目瞭然です。

決して技術がなくても、あなたを信じてくれる人がいます。

あなたのファンになってくれる人がいるはずです。

仕事が出来る人の条件 = 気が利くかどうか?

味や技術がどうのこうのという問題ではないです。

想像してみてください!

みんなが、超!ハイレベルな技術を持っていて、接客スタイルも全員統一。話す言葉も話すトーンも全く一緒。

そんなお店、つまらないと思いませんか?

美味しい料理作れるシェフがいて、色んな知識のあるソムリエもいて、

でも、中には

ガトーショコラやシャーベットを何回も失敗して

『美味しい!』って言われたら

感動して泣いたりして…。

そんな不器用なスタッフもいなくちゃワクワクするお店っていう複雑でクセになるようなものは作り出せないんじゃないのかな…?

でも、そのスタッフたちの心に秘めているものは、みんな同じで ただ一つ。

それは

『真心』

だと思うんです!

やろうと思えば誰だって料理も出来るし、ステーキも焼ける!

やろうと思えば誰だって接客が出来る!

真心で接することが出来れば

お客様に喜んでもらえるし、笑顔が作れるはずです!

これからも沢山の笑顔で溢れるお店を作っていきます!


真心がスパイスです! 田口 雅基